2014年10月26日日曜日

窃盗における条件反射制御法の第二ステージ

「例えば窃盗が主訴の場合、第一ステージはイメージができるのですが、第二ステージ以降はどのような手続きや工夫?技法?があるのでしょうか。」

 このようなメールが突然届きました。行動分析の学習の程度や治療者としての背景など、情報があまり書かれていなかったため、答えるのを躊躇していました。しかし、ここのブログは簡単に単純に条件反射制御法を広めていこうという趣旨なので、メールの質問を元にお答えしてみます。

 私自身は10代の窃盗のケースに条件反射制御法を使いました。そのときに気をつけたことは、彼が嘘をつかなくてもいい面接をすることでした。いい報告も悪い報告も淡々と聞き、どんなことも話せる部屋を作るようにしました。そういう確立操作をしておいてから、条件反射制御法の第一ステージを始めました。と同時に、窃盗をする瞬間の戦慄について詳しく話してもらい、まるでスローモーションのように細かく行動を陳述させて、きっかけの刺激を見つけてもらうようにしました。

 きっかけ刺激が見つかったら、それと同じ刺激が今日はあったかなかったか、また、そのきっかけがあったのに反応(窃盗)へ至らなかった回数を記録してもらいました。第二ステージはこのきっかけ刺激にさらされるように、わざとその場へ行ってみたり、わざと商品を手に持って握りしめてもらったり、私が見ているところで私の財布を触ってもらったりしました。誰も見ていないところが最もドキドキしたそうです。誰もいない盗めそうな場面をわざと作って、ドキドキがおさまるまで、その場から離れないようにしました。自信がない間、ケースの彼はきっかけ刺激を避けるように行動していましたが、徐々にさらされに行くようにして、最終的には一人っきりでその場にい続けることもできるようになりました。

 その一方で、彼の退屈な日常をエキサイティングにする余暇活動も増やしてもらうようにしました。そのことによって、きっかけ刺激に晒されていても他の楽しみを考えたり、必要な勉強をする時間に当てることができるようになりました。第二ステージは擬似といって似た視覚刺激や似た動作をさせるけれど、標的の反応が出ないようにするものです。擬似ステージは設定しづらいものもあります。個別に工夫する必要がありますので、アイデアがわかなければ、想像ステージ(第3ステージ)をしっかりと行うことでも代替できると思います。想像ステージは窃盗の戦慄を覚える場面を800字くらいの長さに書いたものを朗読して録音し何回も閉眼でイメージするといいでしょう。

 条件反射制御法をうまく使うためには、それ以外の用意周到さも鍵となっています。とはいえ、おまじない(キーワード&アクション)をしっかりと日常生活に条件づけていくことができると、それだけでも効果があります。

1 件のコメント:

  1. 行動療法研究 40巻3号,228-229 「盗癖に対する行動療法ー条件反射制御法の簡易版を用いた介入の報告ー」にケースの全体像が掲載されています。

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